防塁前
 9月も終わりに近いのに、ことしはどうしてこんなに暑いのか。電車だって、バスだって、ラッシュ時に乗ろうものなら、まさに蒸しぶろ、焦熱地獄。学生さんの、サラリーマンも、OLも、その地獄のなかで、じっとがまんも子。ものいう元気はなさそうにみえる。そんななかで、上り電車、下り電車に、ぽっと穴があくのが、この防塁前。西南大学、高校、修猷館。学生らが、ごっそり下車。やっと、車窓から涼しい風が吹き込んでくる。やっと座れたOLがハンカチで、そっと汗をふくのはこの時で、下車した学生は、手のひらで、顔の汗をツルリ。

 電停前に「史跡元寇防塁入口」の石碑が立っている。ずっと昔。日本の命運をかけた古戦場である。

 だが、その防塁跡は、心ない市民や、観光客の手で、毎年荒らされどうし。市の観光課が予算をつけて補修しているが、追いつけない。防塁荒らしと補修のいたちごっこは、もっかのところ市に分がない。古い福岡の顔。重要な観光資源。これが荒らされることは、福岡市が本当の文化都市でない証拠。