荒戸一丁目

 人影も少ない昼下がりの電車道。何分間に一回くらいしか電車もこない。この電停から浜へ歩くと木造家屋が立ち並んでいる町に、パチンコ屋があった。飲み屋があった。そしてその飲み屋が漁港まで続いている。

 港には、漁船がいっぱい。底引きの基地である。

 船出の時、夫や、息子を見送る"出船見送り待合所"が岸壁に立っている。

 この町が騒がしくなるのは、夕暮れ時からである。あちことの飲み屋に電灯がつき、どこからともなく、たくましい海の男どもが集まってきて、やがて歌が出る。

 さて、この荒戸の町、やはり海が近いせいか、地下鉄工事はオープンカット工法。そこに、住民の不安と不満が集まる。

 地盤沈下、家屋の被害、交通対策、そしてその補償。しかし、話し合いははかばかしくいかないのかだれも浮かぬ顔。

 問題ははたでみてるよりは深刻のようだ。