東車庫前

 電車の晴れ舞台は、なんといったて、花電車。戦後、市民の心が荒廃していたとき、パッと明るい話題で市民の心を奪ったのはこの花電車であった。昭和23年、焼け跡の博多の町に復活したどんたく花電車が搭乗した。戦前の花電車より、そまつなものだったが、市民は、この花電車を見て、日本に平和がよみがえったことを実感として味わったのである。ついでながら、その当時の運賃は2円均一だった。

 その花電車。いや、おそらく最後の花電車が、いま車庫前でお化粧の最中である。造花や、電球。朝早くから深夜まで、福岡市内を走り回る花電車の、最後の厚化粧である。

 さて、東車庫。11月1日をすぎれば、もう電車の修理をする必要もなくなる。
 静かに消え去る老兵のように、車庫そのものの解体もすすんでいる。